まずは出場された皆さま、感動をありがとうございました!
出場された選手のみなさんには、共通している素晴らしい人間性をいつも感じていました。
ほぼ会う事もないのですが、同じ場所にいると必ず向こうから声をかけてくれました。
今回出場した選手8名、皆さんそうでした。
一人でオーストラリアに練習に行った時、たまたま同じ電車でお会いした選手は立っていた私を座らせてくれました。
ウォータージャンプで練習していた時は、
うまくいかず、同じ失敗を繰り返している私に詳しくアドバイスしてくれる選手もいました。
同じ大会に出場した選手は、気さくに挨拶してくれてニッコリとした顔を見せてもらい、緊張していた私はすごく気が楽になった事もあります。
私がモーグルを始めたのは
15歳の時でした。
「トップ選手は人間としてもトップ」
そんなトップ選手になりたいって思っていました。
今回出場した8名の選手は私が目指した選手像そのものでした。
私の周りにいた選手はほとんど引退してしまいました。
後から始めた年下の選手も辞めていきました。
そんな風に長い時間の中で考えてみると、私が関わったたった22年の中でもたくさんの人が
この競技を思い、それぞれに行動してきたのだと思います。
今回出場した選手たちの元々の強さではありますが、
これまでの全てのモーグル選手が積み上げてきたものが、あらゆる形になり、一つ一つのエッセンスになって、
このような選手たちを生み出したのかもしれないな。とも感じてしまいました。
なぜなら
たくさんの人がこの競技で大怪我をしてきました。
たくさんの人がルールや基準に悩んできました。
本当にたくさんの人が、一生懸命自分のモーグルをやってきた事が、この若い選手たちのオリンピックにつながっているように感じてしまいました。
間違ったことを言ってしまっていたら申し訳ありません。
それくらいに、今回のモーグルには競技としての歴史を感じました。
個としての強さがありました。
そしてチームとしての和が築き上げられ
背景にある競技としての歴史が生かされたように感じました。
日本人の心といいますか、
礼に始まり礼に終わる。
そんな美しさを感じたのです。
元々スキーというものはレジャー要素が強く、
ジャンプやコブを滑った時は
カッコ良くて注目されるものです。
私が始めた頃のモーグルはカッコよさが目立つ反面、
派手でチャラチャラしたイメージに受け取られる事も少なくなかったと思います。
今回のオリンピック代表選手8名のインタビューの受け答えでもわかるように、
国内外で活躍する若手の選手は真面目な子が本当に多くてびっくりします。
彼ら彼女たちと同じ競技をしているんだって
言える事が誇らしいです。
5年前、北京を目指して復帰しました。
その時、
オリンピックは愛と平和の祭典だと聞きました。
今回出場した8名の選手たちのインタビューを見て
それを感じました。
そして、「愛」とか「平和」は口にするものでも
意識するものでもなく、
当たり前にそこにあるのですね。
彼ら彼女たちから出てくる
「ありがとう」の美しさを見たら
世界がどんなに美しいものかが分かります。
素晴らしい姿を見せてくれて
ありがとうございました!!